Interview

未完のアルケミスト

-トライアスリート

佐藤 錬-【後編】

Entry.07

佐藤 錬

Ren Satoh

Q.若手だからこそできるレースをしたいということですか?

若手だからというかある意味、神奈川大学だからできることです。大学から遠征費が出るのは大きいです。学生でこんなに海外のレースを回ることができているのは自分くらいだと思うので、そこの強みは生かしていきたいです。
援助金がたくさん出ますっていう話を三井住友海上の監督さんにした時には、出れる大会は全部出た方がいいと言われました。その本質っていうのは挑戦っていう意味です。
今シーズンは初めて海外のレースに出ましたが、学生だから守られている立場というか、逃げる言い方をするとまだ学生だからっていうのは少しあると思っています。守られてる最後の立場でどこまでいけるか、という風に感じてます。やるしかないですね。

Q.大学からの援助は絶対に結果を出せなければいけないプレッシャーではなく、挑戦をするための後押しになったのですね?

そうですね。失うものがないので、だからやるだけっていうか、反省とか課題とかもちろんあるんですけど、全てにおいて初めての経験になるのでそこはできることをポイントを抑えてやっていきたいです。

Q.大学からの援助の額はかなり大きいものですか?

そうなんですよ。規模でいうと全国大会以上のものは出るので、国内のコンチネンタルカップも出ます。そこにはかなり助けられています。それこそ学費より多くの遠征費が出ています。神奈川大学はたまたま選びましたが、大学にも恵まれました。トライアスロンをやるなら神奈川大学はかなりいいと思います。
東京都の体育協会の方からも支援があるので、遠征費に関してはほぼゼロで、それを当たり前にやらせてくれることはいつも感謝しています。

Q.家族からの応援もありますか?

トライアスロンを始めた時はゼロからのスタートなので、結果も何もないので勝手にやりなさいという感じでした。
ちょっとずつ成績出すようにつれて、応援する力が増えてきたというか、日本選手権も応援に来てくれました。今はいくらお金がかかってもいいから、今やれることだけやりなさいと言ってもらっています。
遠征費は無料といっても、練習に行く交通費などはかかります。今はバイトもしないで練習させてもらっているので、そういうお金は借りて、自分でチェックつけて大人になってから母親に返そうと思ってやっています。

Q.改めてオリンピックに対する目標を教えてください。

みんなが言うと思うんですけど、オリンピックに出たいです。そこは曲げずに、目標の設定の仕方としてはオリンピックに行くというところから逆算しています。
東京オリンピックにはもちろん行きたいですけど、年齢的にはパリだと思います。
2024のパリに標準があっていると思うので、そんな気持ちじゃ東京オリンピックなんて行けないぞと言う人もいると思いますが、あらかじめ割り切っていて目標はパリで六年計画。六年の間に何ができるかと探っているところです。

Q.それは自分の選手としてのピークをそこに持っていけるという自信ですか?

そうですね。オリンピックに行けるという自信は絶対にあるので、それまでに何が必要か見定めて何ができるかと考えて行きたいです。東京はランキングなどのルール的な面で間に合わないと思います。
もし行けるとしたら一発勝負、アジア選手権優勝だったり、WTS入賞だったり、そういう一発勝負しかありません。そこに賭けて博打のようなことをやるんだったら、今は経験を積むことを考えるようにした方がいいかなと考えています。



「錬」という名前に相応しい戦いを続ける佐藤選手。常々大事にしているという言葉は一所懸命。インタビューの中で感じた自信は、揺るがないものであった。もっとも標準を置いているという2024パリの舞台。未来のスポーツ紙の見出しは「錬金」で溢れるに違いない。