Interview

未完のアルケミスト

-トライアスリート

佐藤 錬-【後編】

Entry.07

佐藤 錬

Ren Satoh

Q.日本人が固まって出場する大会は結果が出やすいと感じますか?

そう思います。予想の結果通りというわけにはいかないですけど、ある程度戦略が組める形にはなります。例えば今回の香港(取材後の週末に出場予定)だったりすると康貴のスイムについていけます。世界でも通用するスイムだと思っているのでいい順位が期待できるな、とか、予想はしやすいですね。
それとレース中にも日本人がいるだけで、不安感はなくなりますし冷静になれるということもあります。


情報がない中でのレースにもまだまだ工夫する余地は見られそうである。海外でのレース経験を蓄える佐藤選手は、さらに上の大会を目指すためにどう考えているのだろう。

Q.大会のレベルが上がると今度は別の戦いに方が生まれると思いますか?

そうなると今度は逆に情報が増えてきます。
ただ、前回のワールドカップで自分の実力が足りないことは分かったので、やっぱり根本的な実力をつけること。そこはもっと練習を積むしかないですね。

Q.実力のなさとはどのような場面で感じましたか?

海外の選手は荒いイメージがあって、走力があっても技術がない選手が多い気がします。威海のレースではバイクで下ってるとそんなに上手くないなって選手もいるんですよ。
だから、圧倒的に足りなかったのは基本的な実力です。それを感じたのは第一集団の最後尾でスイムを上がって、バイクで本体に追いつくまでに脚を使ってしまい、そこで登りが始まってちぎられてしまいました。その時に感じたのは、泳力がまったく通用しないことではなくて、泳ぎ方とスイムの過ごし方、やり方が海外の選手は違うなということです。
単純に言うと、自分はスイムが終わると完全に脈が上がっているんですよ。海外の選手はバイクのために上げません。だからバイクで飛ばしてもそのままいけるんです。
自分は脈が上がっている状態で、さらにバイクで追いつくために脚を使って脈もあげているので、そこから先がありません。
スイムを楽に過ごすか、バイクを楽に過ごしてランに繋げるかっていう、先々を考えることは海外の選手はうまいなと感じます。

Q.それができている日本人選手はどんな選手ですか?

単純にベテラン選手ですね。
雄一さんだったり、田山さんだったり、純平さん(古谷純平:三井住友海上)だったり、もちろんレースによって純平さんは攻めたりとか、バイクで思いっきりいくってこともありますけど、根本的にはトライアスロンで結果を残すというのがベテラン選手にはあると思うので、どんな状況でも考えている。
今回の日本選手権で、バイクで2人が逃げた時も、行こうと思えば行けたけど、後々のことを考えていたのだと思います。全体的な視点で考えられるのはやっぱりベテラン選手です。


今回は大会前の貴重な時間をインタビューに割いていただいた。残りの大会での活躍に今から心が踊る。

Q.今シーズンの残りの大会、コンチネンタルカップ香港、W杯サリナス、W杯宮崎の目標についてお聞かせください。

まずは、ITUポイント獲得っていうのが今シーズンの目標でした。コンチネンタルカップでは6大会の加算がまだ残っているので、しっかりポイントを取りたいです。

※ITUポイントは最新一年間に獲得したポイントとそれ以前の一年間に獲得したポイントが合計される。
どちらも、最大6大会まで加算され7大会でポイントを獲得した場合は獲得ポイントの大きいものから6大会が計算される。また、二年〜一年前に出場した大会で加算されるポイントは3分の1にして計算される。
このルールは2017シーズンより適用されている。


そこでITUランキングを上げたいです。シーズン当初の目標は前半でITUランキングを上げて後半でワールドカップに挑戦するというものでした。ワールドカップのサリナスと宮崎に関しては失うものが何もないので挑戦の一言ですね。やるしかないです。