Interview
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- 佐相 宏明
週10時間の練習で
ironmanハワイで
10時間を切る
Entry.10
佐相 宏明
Hiroaki Sasoh
Q.少ない練習時間で、目標を達成することになった要因の一つでもあるパワーメーターについて教えてください。
パワーメーターはロングのレースにおいて必ず必要だと思っています。なぜかというと、トライアスロンでは長い時間ぶれずに一貫したレースプランが必要なものだからです。最初の40キロはガンガンいって、次の40キロは控えめにいって、その次はスピードを上げてと変化させているとばらつきが出てしまいます。 180キロを速く走ると考えたらブレを少なくすることが大切だと考えていて、イーブンかビルドアップで若干ブレを少なくするくらいがいいと思っています。それを実現するためにパワーメーターは必要だと思っています。
バイク180キロのレースは長く、標高も変わる、風向きも変わる、体調も変わる、体調が変われば感じ方も変わる。長いレースは変化の連続です。どうしても主観がブレてしまう。絶えず変化を続ける環境に左右されない客観的な数値は、信頼性の高い指標です。だからロングのレースには絶対に必要です。
コナであればレースの途中にスコールのような大雨が降って身体感覚がめちゃくちゃになってしまうが、信頼できる指標があるだけで、そうしたリスクをほぼゼロにすることができる。
Q.レース中に必要であることはわかりました。
トレーニングでも必要なものですか?
トレーニングにおいていついかなる時も出力を見ている必要かと言われるとそうではないと考えています。トレーニングを評価するためには必須でしょう。
練習中に常にパワーメーターを見ているかと言えばそうではありません。例えば最大出力を数値化した時に800wも出ているからこれで十分だと思ってしまうことがあります。数字が見えてしまうと限界を超えることができず、数字が見えない方がいいシチュエーションは必ず存在します。一方、トレーニングを振り返る際にはなくてはならないものだと思います。事後的に評価できてこそ、トレーニングは完結すると考えています。トレーニングを評価する道具として、パワーメーターは非常に強力です。
究極は主観と実績値が完璧に一致することが終着点です。そう考えるとずっと数字を見ているわけにはいかなくて、自分の感じていることに耳を傾けることは必要になってきます。自分が500wだなと思った時に、チェックして合っていたり、違っていたらなぜかと考えたりとそういう使い方をしています。ずっと見ている必要はありません。ただ一方でないと困るのも事実です。なくても練習はできるがあった方がいい。レースの時はなくてはいけない。このような認識です。
Q.パワーメーターを必要としない人はどのような人ですか?
自分より少しだけ強いトレーニングパートナーが近所にいて、いつも一緒にトレーニングできるのであれば、全く必要ないと思います。同じレベルのトレーニングパートナーがいれば、その相手について行ったり置いて行ったりすることがトレーニングです。しかしそういう訳にもいかないので、1人で練習する時にパワーメーターが必要だと思います1人で練習する時にパワーメーターが必要だと思っていて、同じレベルのトレーニングパートナーがいれば、その相手について行ったり置いて行ったりすることがトレーニングです。
トレーニングで一番重要なことは競技力を向上させることで、主観と客観を一致させることではありません。だからトレーニングパートナーがいることが1番いいと思います。ただ、四六時中一緒に練習できる人などいないからパワーメーターを見て工夫をしている訳です。
トレーニングのお供のファーストオーダーは自分より少しだけ強い人。だけどそれが無理だからパワーメーターを使う。そういう意味でパワーメーターはトレーニングパートナーと言えるかもしれません。自分を写す鏡のような存在です。
トライアスロンの楽しみ方は、人それぞれだという考えの中で、明確に自分の楽しみ方を見つけていることが何よりも羨ましいものだと感じた。アイアンマンという長い道のりも、まっすぐに無駄なく迷いなく走れば、速く駆け抜けることができる。その快感は彼だけにしか味わえない。また一つ、トライアスロンの楽しみ方を知るインタビューとなった。