Interview

週10時間の練習で

ironmanハワイで
10時間を切る

Entry.10

佐相 宏明

Hiroaki Sasoh

慶應義塾大学大学院1年生の佐相宏明は、2017年10月14日アイアンマン世界選手権に出場し、9時間57分30秒でフィニッシュした。
佐相は2016年に国内で由緒あるレースとして知られる全日本トライアスロン皆生大会での優勝で一気に注目度を高めた選手である。オリンピックに出るような屈強な身体を持つ選手には敵わないと述べる佐相は、トライアスロンとどのように向き合っているのだろうか。

Q.アイアンマンディスタンスのレースに挑戦した経緯を教えてください。

アイアンマンに出ることになったのは、ショートじゃないことをやりたかったからです。それはショートじゃないものをやる理由であってアイアンマンに出る理由ではありませんが、長い距離の方がパフォーマンスが高くなりそうというデータがありました。治験のアルバイトで代謝に関するデータをとってもらうと、糖質の代謝があまりよろしくありません、糖質があまり使えてませんという結果が出ました。それは爆発的なエネルギーを出しにくいという反面、ハンガーノックになりませんよということで、だからショートじゃないところならロングやろうかなと思いました。やっぱりロングならアイアンマンやるかとなった時に、2015年は北海道でアイアンマンジャパンがあったので出ようかなと思いました。それに加えてサークルの一つ上の先輩がアイアンマンジャパンに完走していたので自分でも行けるだろうなと思って、ポチった(エントリーした)ことが始まりです。

Q.トライアスロンの入り口はショートディスタンス(51.5㎞)だったのですね。

大学に入ってしばらくはスポーツとしてはサッカーをしてたのですが、ここにいても活躍する機会がないと思って別のスポーツがやりたくなりました。トライアスロンというスポーツはそれ以前から知っていて、どういう三種目で構成されるかも知っていて、その三つをクリアしていたから、できるじゃんと思いました。それで大学生1年生の1月の日吉競技場でのラン練に参加して、そこで入部を決めたというかトライアスロンをやることに決めて、TeamJ.に入りました。
身近なところにある環境だったので自分の中では自然でした。特に考えることもなく大学のサークルでやろうと思って入りました。
※TeamJ. 慶應義塾大学の学生で構成されるトライアスロンサークル。

すっかりアイアンマンのイメージが定着しているがトライアスロンの入り口はショートディスタンスだった。

Q.ショートディスタンスのレースが中心である学生団体にいたからこそ、ショートへの出場意欲があったのですか?

おそらく所属に関係なくショートをやっていたと思います。それは単純にいきなりロングは無理だからです。入り口としてのショートという性質は明らかです。ただ自分の中では大学のチームにいるからといってショートに固執する必要はないと思っています。
競技の楽しみ方はそれぞれだから王道である学生レースに出て、インカレに出て、さらに高いところ目指してジャパンカップ転戦して、エリートでやるのも一つの道だと思っています。
別にそうじゃない楽しみ方はこのスポーツにはあって、ロングをやってもいいし、ショートの草レースにたくさん出るのもいいし、ウルトラマラソンに出るのもいいし、オープンウォーターでもいいし、そこはトライアスロンのショートに固執する必要はなくて競技を楽しめればいいと思っています。極端な話、レースに出なくても、練習が楽しくて、みんなとトレーニングするのが好きだからっていう人がいても違和感は覚えません。僕の場合は、入り口がどこにあっても、ショートに固執はしなかったと思います。

トライアスロンにはそれぞれの楽しみ方があると語り、その中でもチームの存在は大きかったように伺えた。学生チームや学生レースの中で、何を考えていたのだろうか。

Q.TeamJ.は自由にトライアスロンを楽しめる環境でしたか?

一つ大きいのは、一学年上の佐々木さんがロングに出たことです。それで、「出ていいんだ」という影響があったのかなと今では思います。
あとは、四年生で卒業旅行でアイアンマンに出たとか、OBが海外のやはりアイアンマンに出たとか、トライアスロンっていう世界は案外広いんだよっていうのを上の世代の人が伝えてくれていて、入部した頃には既に自由な雰囲気がチームにあったと思います。その勢いを加速させるのに一役買っているかもしれませんが。
というのも、是非は置いておいて、運営代でありながら学生レースでなく初アイアンマンに重点をおいたりとか単純に後輩をそういうレースに誘うからというのがあって、今年の皆生には2人のチームメイトと一緒に出場しています。チームには学生レースにまったく出ていなかったり、トライアスロンに固執していない人もいるので、そう考えても自由なチームです。