Interview

流通経済大学

トライアスロン競技部

監督に聞く

Entry.23

田山 寛豪

Katsuhiro Tayama

ご自身が学生の時に感じていたことを伝えているのですか?

私は駅伝部だったので、トライアスロンのチームというものは感じていませんでしたし、そういうことは全く出来ませんでした。
調子がいい時は返事も挨拶も良くて、ムードメーカーというか面白いことを言ったり、みんなをからかったり、自分がからかわれたり、そういう選手というか学生でした。
でも、色々な実業団などを経て、それではいけないということを学びました。学生たちにはどんな時にもしっかり挨拶をすること、目上の人に会ったらしっかり止まって挨拶をすること、報告連絡相談はしっかりすること、自分が学生時代に出来なかったことを伝えています。今のうちに出来た方が卒業してから必ず役に立つ。「田山のところで卒業した選手は、やっぱり報告連絡相談がちゃんとしてるよね。なんか大会でも雰囲気が違うよね」と言われるようなそういう当たり前をしっかり出来ることを言っています。うちは強いだけじゃ駄目なんですよ。
インカレに出場したら、この6人がまとまって行動をしている。やっぱり流通経済大学だな、と思われたいですね。
流通経済大学ってなんでか分からないですけど、他の大学からあまり声がかけられないことが多いんですね。別に「お前ら他の大学生と一切喋るな」なんてことは言ってなくて、そこはフレンドリーに喋りかけてもいいのにな、とは思います。
ただ、そういうところを目指しているのも事実です。やっぱり流通経済大学の選手は強いだけじゃない。何かこう、やってきているな、とそれが雰囲気に出ているようなところ目指しています。

ズバリ、流通経済大学のチームとしての強みは何ですか?

それは信頼関係です。
選手同士、学生同士もそうですけど、私と信頼関係があります。自分で言ってるくらいですから。
だからと言って、選手は田山のことが全て好きというわけではありません。その中でも、私が言ったことに対して、僕はこうしたいですと意見も言ってきますし、それじゃあこうしてやっていこうなと意見を言い合えるのは、やはり信頼関係があって、いいものを作っていこうと思っているからです。
その関係がなければ、自分が一方的に言って、選手はやるだけになって、考えるべきことを考えず、言われたことしかできない選手になってしまいます。
そういう意味で厳しく接します。細かいところまで指摘して、意見に対してそれは駄目だと跳ね返すこともありますが、そこにはやはり信頼関係があります。
そこにチーム力というか、チームの魅力があると思います。

信頼関係はどのようにして生まれていくのですか?

これだ、っていうものはないと思います。
報告連絡相談をしっかりする。最初は意識的にやっているかもしれませんが、無意識のうちに自分がどういう情報を教えてほしいのか、それをしっかりと伝えてくれる。
その中では、チームの雰囲気を大切にしような、というのは守ってやっています。最初に何回か怒られて、それを言われ続けるのではなくて、学んで継続する。そういうところから信頼関係は生まれるのかな、と思います。

私はあまりミーティングっていうのはしないんですよ。相談がある時は個別に一対一で話を聞くようにしています。そこで、こういう風にしたいと言われたら、それじゃあこうしようか、と個別に対応して決めています。
治療の報告だったり、結果の報告だったり、時には彼女ができましたとか、別れましたとか、そういう報告も受けたりします。
そこは面白いですよね。そんなことまで言ってくれるのか、と。
練習終わった後に、「最近どうなの?」と聞くことがあるんですよ。そういう雰囲気の時に。
反対にすごく真剣そうに「田山さんいいですか?」と言いつつ、「実は彼女ができて」とかそういう話ができるのはいいなと思っています。

厳しさと信頼。インタビューのうちに何度も繰り返されたその言葉。
選手たちは四年間この言葉を受け続けながら、また練習や日々の生活の中で示されながら成長していく。競技の技術よりも学ぶべきものがそこには存在する。
そこに飛び込む覚悟は、選手として人として大きな決断になることだろう。
日本一厳しい大学だと断言する田山監督は、流通経済大学は何かと天秤にかけるよう場所ではないと語っていた。本気でトライアスロンに立ち向かう聖域として変わることなく、そして選手たちは成長という変化を味わい続けるのだろう。