Interview

斉藤宗樹
トライアスリートが集う
樹の下で

Entry.02

斉藤 宗樹

Muneki Saito

出会った人の名前は必ず覚えるようにしている

インタビューの中で、斎藤宗樹さんは「出会った人の名前は必ず覚えるようにしている」と答えている。自分のことを覚えてもらうのではなく、自分から覚えること。それが大切なことだと。

大会で優勝した凄い選手だから覚える。才能があって、将来有名になる可能性があるから覚える。といった考えではなく、出会った全ての人を分け隔てなく覚えると当たり前のように語っていた。


エリート選手だからと言って必ずしも特別な存在であるわけでない。あえて特別なことがあるとすれば出会えたということだろう。

エリートの九町さんが、OWS(オープンウォータースイミング)の大会に出場したときのことだ。斎藤宗樹さんは、大会のサポートを任されることになる。OWSのサポートとして、大きな役割の一つに補給がある。

通常のサポートは、専用の長い竿のようなものに補給品をつけて、桟橋などから泳いでいる選手へ渡そうとする。サポートの経験がほとんど斎藤宗樹さんに、九町さんが用意したのは虫とり網だったそうだ。周りが専用のものを使っている中、自分は恥ずかしい思いをしたと、楽しそうに語っていた。

実際に触れ合ってみると、エリート選手だって同じ人間で違いなんてない。普通に触れ合っていれば、こんな面白いこともあるとたくさんのことを紹介してくれた。

ロングディスタンスの大会に出場したい

スプリント、オリンピックディスタンスをまだ一度ずつしか経験はないが夢を語る。

ロングに完走する人は、経済的にも、時間の管理も、練習内容も充実していて、尊敬しているという。現在はトライアスロンはお休みしていて、大学に通う子どももいて、いつか出てみたいと未来を見つめていた。

会話の途中で、思いついた!と、すでに一言くださいと渡してあった紙を持って目の前から立ち去った斎藤宗樹さん。
誰にも見られない場所で色紙に書かれていたのは
「出来ないのか やらないのか」

斎藤宗樹さんは、まだロングディスタンスに出場したことはない。そして、出るとなったら必ず完走したいと力強く語った。
「出来ないのか やらないのか」

今はまだ、身体を温めているとき。エリート選手がすり減らしてしまった軟骨は温存してある。これから先、もっと歳を重ねてもトライアスロンを楽しむにはそれぐらいがちょうどいい。

「出来ないのか やらないのか」
誰かへのメッセージにも思えるこの言葉。
今、あなたがそれをしないことに
本当に理由はありますか?