Interview

限界を尋ねて
新田城二の挑戦

Entry.24

新田 城二

Joji Nitta

2017年9月3日

日本学生トライアスロン選手権。
結論だけでいうと80位。2時間02分00秒。
「そのタイムはあなたの限界ですか?」
その結果に悔しさを感じている。限界のはずがないだろう。

もしも、完走することが目標の選手ならば、それで満足できるかもしれない。しかし、新田の延長戦にそんな意味合いはなかった。
武器であるスイムも、まだトライアスロンに順応していない。オープンウォータースイムのスタートダッシュ、集団に飲まれれば身動きが取れなくなる。避けるように遠回りしても前に追いつくことはできない。トライアスロンに特化して練習してきた選手は一枚も二枚も上手だった。得意なスイムで上位を逃せば展開はふるわない。
反省は探せばいくらも見つかった。振り返れば甘いと思わされるようなこともあった。だけど、それを直せないとは思わなかった。

2018年3月17日

高知県認定記録会。
その結果で強化指定選手となる。
記録だけを辿れば、圏外の選手から、学生選手権のシード権を獲得。シードに相応しい結果は伴わなかったが、タイムを伸ばし強化指定を獲得。階段を登り続けている。
スイム400m 4分03秒71
ラン5000m16分05秒36
「そのタイムはあなたの限界ですか?」
効率よく練習して、月間走行距離は70キロ程度。まだまだタイムは伸びていく。タイムだけじゃない、これからはレースで結果を出していく。
2年間の延長戦。最後の最後に、選手として評価を受けた。
そこにはトライアスロンで結果を残し、世界で戦う顔ぶれが並んでいた。新田はそこに名を連ねることに成功した。

2018年4月

そして、トライアスリートとして
社会医療法人 関愛会 佐賀関病院 に入社する。延長戦は終わった。タイムを、下地を作る期間は終わった。これからはレースで、結果で示していく世界に足を踏み込んでいく。
今の成績で出場が届く大会。コンチネンタルカップ、国体、日本選手権。ずっとその先のオリンピック。
「そのタイムはあなたの限界ですか?」
という問いは、自分だけが発する言葉ではなくなる。選手として期待してくれる全ての人が言わなくても、聞いてくる。まだだ、まだだ、まだだ、と答えているうちに、必ずあそこに届いていることを信じて。