Interview

笑顔に溢れる
世界を希う。

Entry.11

駒野 悠太

Yuta Komano

駒野と妻とトライアスロン

2017年までに、駒野は一体何人の心を、何度心を動かしただろうか。信じて走っていると、信じて応援してくれる人が増えた。
妻は、元来スポーツなんて見るような人ではなく、トライアスロンをしている自分を理解しているわけではなかった。それでも、結婚する年の横浜大会、レースを見てもらうことで何かが動いたようだ。人生のパートナーは、自然とトライアスロン競技を支えてくれるパートナーにもなっていた。
トライアスロンを認めてくれる人と結婚をしたいとか、そういう話ではなくて、本気で取り組んでいるものに、それを生で見て感動してくれて、それがたまらなく嬉しかった。
本気だからこそ、涙を見てしまうこともあった。2016年はエイジランキング最終戦でチャンピオンになり損ねてしまう。妻は悔しくて涙を流すほど、本気で取り組むものに変わっていたのだ。


2017年のシーズン初戦は、思い出の石垣島でさらに熱がこもる。しかし、オーバーヒートしてしまったのか、結果は熱中症でDNFとなってしまう。ゼッケンの内側に書かれた緊急連絡先が役に立つ日が来るなんて思いもしなかった。帯同していなかった妻に連絡がいく。また泣かせてしまっただろうか、心配をかけてしまった。もう涙は見たくないのに、いきなり情けないレースをしてしまったのだ。トライアスロンは人の心を動かすと信じている。それが涙の時もあるのは仕方ない。だけど、同じ心の動きならやっぱり、笑顔の方が素敵なはずだ。
そう信じてシーズンをやり直した。フルタイムワーカーで、社会人大学院生として勉強を続ける駒野は、有り余る練習時間など存在しない。朝の30分のローラー練習、昼休み返上でのトレーニング、休日にできること、それぞれ一回の練習で、常に成長し続けることを考える。もちろん、休日には家族で過ごすことも忘れない。
そうやって、そうやって、日々を過ごしていくと、笑顔がたくさん現れた。
リベンジとなる最終戦の宮崎、フィニッシュ後にはエイジチャンピオンを祝福する妻がいた。レース後に優勝記念の手作りポーチを受け取る。このレースで、今度こそエイジチャンピオンになることを信じていてくれた何よりの証明だ。また、優勝を逃すかもしれないのに、無駄になるかもしれないのに、ずっと前から信じて作っていたのだ。


それまでカテゴリーのチャンピオンだった島田さんの代わりに世界選手権に公費で出場する権利を得た。世界で戦うことで新しい笑顔が生まれるだろうか、身体中が笑っているかのように楽しみが止まらない。
来シーズンの目標は「世界エイジ」に加え、「エリートレース」。これまで挑戦してこなかった新たなステージに踏み入れる。手に入れたものに満足せずに走り続ける。
島田さんの代わりに出るからには5位以内になれるように、関東選手権や国体予選で新しい世界への扉が開けるように、そうすればまだ見たこのない笑顔が生まれるはずだから。

2017年12月に、また一つ、新たな笑顔が生まれそうだ。その子は笑顔に決まっている。駒野も、妻も笑顔に決まっている。
笑顔に溢れる世界を希う。
それがトライアスロンを続ける一番の理由だと思う。