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2016アビレスITUデュアスロン世界選手権

by 栗原 正明

DATE
2016.06.04 - 2016.06.05
VENUE
アビレス(スペイン)
COURSE
Run 10km >> Bike 10km >> Run 5km

5年ぶりの世界選手権の舞台。
2011年の開催地もスペインだった。
5年前の自分を越えるために全力で挑もう。
選手紹介を受け、100mほど歓声を受けながら走り、スタートライン立つ。

「クリ、よろしく。頑張ってこよう」
深浦さんと握手を交わす。
オレは出来る、オレだから出来る。
…行ってきます。

現地、そして日本からのたくさんの応援に、ありがとうを伝えよう。



1stRun 10km

ランコースは会場の出入りがタイトであるが、その後は平坦な川沿いを進むコース。
スタートはかなりのハイペースで進むので、焦らず冷静に後方で展開する。

落ちてくる選手を次々に拾っていくが、僕も辛い。前方では深浦選手と田中選手が集団を作り、そこからこぼれた選手がポツポツと点在している。
僕もその1人になってしまった。後方では三須選手を含む集団が出来ている。

Bike 40km

ど平坦のハイスピードコース。
ランと同様、大会会場の出入りでは狭いコーナーが続くので、集団後方にいると余計なブレーキングを強いられてしまう。

まずは諦めずに20秒先の前の選手を単走で追う。

途中歩道のない橋を渡るところにも人が詰めかけ、ツールドフランスさながらの声援を受ける。

橋の下りを利用して45km/h程度で前をガシガシ追うがなかなか近づかない。
前の選手に後ろの僕と合流する意思がないことを感じるとともに、その選手もまた単走であることを考えると、前を追うよりも後ろを待つのが吉。

1stRunのリードが惜しいが、後方を待つ。

三須選手を含む6名が合流。
南アフリカとオーストラリアの選手が積極的に集団を牽引している。
しかしこの程度なら僕も力になれる。まずは前方の選手を追う。

9km地点で前方にいたスペイン人2選手を捕らえ、8名の程よい集団人数になる。先頭交代を渋らないように僕も積極的に牽引する。足は痙攣しているが関係ない。

先頭との差が縮まっている。
追いつけば休めるんだ。

1分半先を行く深浦選手と田中選手の集団をも捕らえられる勢いだったが、途中合流したスペイン人2人が、集団をネガティブにしている。
檄を飛ばしながら、少しでも減速加速をしないように心がける。

しかし集団のリズムを崩され、そのたびに無意味に加速をしてしまう。僕自身も痙攣が治らない。しかし、これが世界との戦いなんだろう。

先頭集団ではアタックがかかり2つに割れる。大きな第2集団はかなりのスローペースになっているが、こちらもペースのアップダウンが激しい。

結局、前方集団と1分半の差が変わらず。
ラストのテクニカルコーナーで前に出て、先頭でトランジッションへ!!

2ndRun 5km

決まった。
世界最速トランジッションを魅せた。


集団から飛び出し、名前を実況されながらスタート。
めちゃくちゃ体が重いが、絶え間ない声援が体を前に進めている。

国も言葉も関係ない。
応援の気持ちが伝わってくる。
それが力になる。

2ndRun後半でも集中力を切らさずに、前のポルトガルの選手を追い続け、ラストのコーナーを終えて、フィニッシュゾーンに入る!!

「Masaaki Kurihara!Japon!」
MCが名前を呼び、歓声があがる。


5年越しのゴールゲートをくぐった。

フィニッシュ後、振りかえるとたくさんの観客が拍手を送ってくれた。
一礼して下を向くと涙がこみ上げてきた。

『あの時、諦めなくてよかった…』