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第12回日本デュアスロン選手権

by 川村好平

DATE
2012.05.13
VENUE
福島県あづま総合運動公園
COURSE
1stRUN:10㎞-BIKE:40㎞-2ndRUN:5㎞



今シーズン国内最終戦となるレース、
競技者としてここまで準備してきたことを全て出し尽くすこと、
また東日本大震災の復興支援大会ということもあり、
福島の地で最後まで全力を出し尽くすレースをして東北を、そして日本を元気にすることを目標にして挑みました。


1Run 10km


前回4月のチャンピオンシップでは8㎞付近でトップ集団から脱落をしており、
今回に向けてはハイスピードでも押していけるようトレーニングでもJOGのスピードを今まで以上にあげて対策。
しかし、スタートから身体のキレが悪く、4㎞手前でトップ集団からはやくも脱落、

前を行くのは深浦選手(ハリアーズ/新宿パークホテル)、飯干選手(G.A.M./ウイングすTC)、今井選手(日本体育大学)の3名。

優勝候補の選手を含むトップ集団は快調に走っていてその差がジワジワと広がる。
田中選手(日本体育大学)と2人で追いかける形となり、なんとかフォームを修正しながらペースを上げていく。

6㎞過ぎからやや身体のキレも取戻し、およそ1分差の位置でトランジットエリアへ。

Bike 40km



トランジットエリアに入ってくると、突然マーシャルから、


「もう1周ラン!」
と叫ばれる。


困惑したが、時計を確認しても十分に10㎞は走っている。


「10㎞走っています」


と返答してそのままトランジットエリアを出る。
トランジの写真
ここが今回の大波乱、トップ集団が


誘導のミスなのか?


選手たちの勘違いなのか?


コースの周回を誤り走りすぎたとのこと。

思わぬ形でバイクからは先頭集団に立つことに、
一緒にバイクに移った田中選手はバイクの力がある選手、
自分もバイクの調子自体は上がってきていたので落ち着いてバイクスタート。


バイクは公園内と一部公道を使う5㎞×8周回、
公園内と川を渡る橋にはわずかなアップダウンがあり、
180度ターン、90度コーナー、逆バンクでの立ち上がり箇所などかなりテクニカルな要素も多いコース。


後ろには藤崎選手(エスビーシースポーツ/G.A.M.)、大野選手(東京都連合)、遠藤選手(チームケンズA&A)の3人集団、
その後ろにはバイクの速い平松選手(サニーフィッシュ)や栗原選手(SCOTT)が単独走で追いかけてくる展開に。


バイクの写真
4月のチャンピオンシップのように平松選手と栗原選手が一緒になると相当なペースで前を追ってくることが予想され、
3人の実力者が揃った集団と合流してしまうと、2人での逃げは厳しい状況。ただまずは様子をみるために田中選手とローテーションを繰り返しながらレースを進める。


公道の折り返しで後ろとの差は確認しやすいコースレイアウト、


10㎞までは後ろとの差もあまり変わらないかやや引き離している様子、

後ろも5人集団になることもなく同じ位置で走っている。

10㎞から30㎞までもその差はほとんど変わらず、おそらく平坦区間のペースは変わらない感じ、コーナーや立ち上がりでやや引き離しているか。

ここは今回ホイールをフルクラムのレーシングライトXLRというロープロファイルリムのホイールをあえて選択してきたのが功を奏す形に。

前日のコース試走も念入りにしていたのと、普段のバイクコントロール系の練習も役に立ち、
テクニカルな部分もスピードを落とさず、また無駄な脚を使わずにクリアしていける。


30㎞から40㎞にかけては後ろをさらに引き離すことができ、1分以上の十分なアドバンテージを保って再びトランジットエリアへ。



Run 5km


田中選手とほぼ同時にトランジットをすませランコースへ飛び出す。

1stRUNではほぼ同じ走力だった選手、バイクも力がありおそらく自分よりは余力があるだろうと覚悟して勝負へ。

練習量も少ない自分にとって並走での体力勝負の展開は非常に分が悪いと判断し、前半からオーバーペースで一気に前に、

その差を前半で一気に広げてしまえば精神面でも揺さぶれると思い押していく。

1.5㎞地点では4秒のリード、3周回のコースでここが勝負どころ2周回目でペースを上げて一気に引き離すことに成功。

1stRUNよりもフォームは意識でき、キレこそないが着実に走れる。

そしてゴールへ。

今回一緒に遠征をしたチームケンズ京都のジュニア選手にハイタッチで迎えられながら、

初めて選手権のゴールテープをトップできる。




表彰台の写真



≪感想≫

実力で言えば優勝することはありえなかった今回のレース、
それでも日頃のトレーニングでは1位でゴールをきる自分をイメージしてモチベーションをあげてきたのは事実、
100%の力を100%出し切るためのコンディショニングやコースインスペクションなど準備できることはし尽してレースに挑めました。
力を出し切れたという意味でも、家族をはじめ日頃からたくさんの応援をいただく地元長浜の皆様や、
一緒にレースを戦った「チームケンズ京都」のメンバー、またチームスポンサー企業各位の皆様、

個人的なバイクサポートを頂く自転車屋様、数えあげればきりがない多くの方に支えられての勝利です。

またお会い、お話しできる皆様には直接お礼を申し上げたいです。

今回の結果で、9月にフランス・ナンシーで開催される世界選手権への出場も内定しました。

今の実力では全く世界と戦えないのは明らかです。
残された4か月間を大切に、自分の課題をもう一度明確にしてから身体と心の準備をしていきます。


末筆になりましたが、今回福島県で初めての選手権開催というなかで、素晴らしい大会をご準備してくださった大会スタッフの皆様、
福島県協会の皆様、地元ボランティアの皆様には心よりお礼申し上げます。

東北の大震災から1年、復興に向けて一歩ずつ前進している東北、そして日本を、

スポーツが持つ力を通して元気にしていけるよう、個人の力は微力ですが全員で力をあわせましょう。

今年はロンドン五輪もありスポーツを通しての世界各国から日本に対する注目は非常に高まります。

9月の世界選手権でもそうした注目の中で、元気な日本の姿を見せられるよう挑戦したいと思います。


2012年5月吉日 川村好平