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ムコーダマガジン

No.4

ITUポイントリストを理解する


【 ITUポイントリストを理解する 】

ITU:International Triathlon Unionの略

ムコーダの写真


トライアスロンにおいて最高の選手とはどのような選手か考えたことはありますか?

・アイアンマンでワールドレコードを持つ選手?
・オリンピックで優勝した選手?
・それとも年間ランキングで優勝した選手?

日本ではどうでしょう。



私は日本選手権最多優勝の田山選手のゴールシーンが目に浮かびました。

定義の仕方はそれぞれあるかと思いますが、今回はその基準の1つになり得るITUポイントリストについて確認してみましょう。



まずはじめに、トライアスロンのエリートレースで採用されているポイント付与システムを理解することが重要です。

ITUポイントが設定されている大会は大きく分けて3つです。

①ワールドトライアスロンシリーズ(WTS)
②ワールドカップ(W杯)
③コンチネンタルカップ(C杯)

他にもU23、ジュニア、世界大学選手権などでもポイントが付与されます。

これらの大会で上位に食い込むと、その大会のレベルと順位に応じてポイントが付与されます。

獲得できるポイントはWTSランキングとITUポイントリストによって異なりますが、最大獲得ポイントは①>②>③という構図は共通します。

ポイントを獲得できる人数は大会によって異なります。

1位でフィニッシュした選手の合計タイムに、男子なら5%、女子なら8%のタイムを加算したタイムをカットオフタイムと呼びその中でフィニッシュしなければいけません。

例えば、1位の選手が2時間でフィニッシュしたのならカットオフタイムは、男子2時間06分、女子2時間09分36秒、ということになります。

そのためカットオフタイムに滑り込むために選手は最後まで全力を尽くすのです。

ただし、大会毎にポイントを獲得可能な人数も指定されていますのでカットオフタイム内でのフィニッシュ=ポイント獲得、ではありません。

さらに大会ごとに獲得できるポイントが設定されています。

1位の選手が設定ポイントを獲得し、2位以降は前の選手が獲得したポイントの92.5%が付与されます。

600ポイントが付与される大会であれば1位は600ポイント、2位は555ポイント、3位は513.38ポイント……と続きます。

それならわざわざ計算させずに最初からポイントの一覧表を作ればいいじゃないかとも思うかもしれません。

しかし、C杯などにITUポイントリスト上位の選手が出場する場合には、最大獲得ポイントが増加する仕組みがあるため固定することはできないのです。

とは言っても、ポイントを獲得するにはカットオフタイム内に入らなければいけないということを覚えておけば、大まかな理解においては問題ありません。

【 ITUポイントリスト 】

正式にはランキングと呼ぶものではありません。

しかし、その形態を見ればほとんど同義であることが分かります。

ITUは最新2年間のレース結果を元にポイントの付与を行い、毎週のように順位づけを行っています。

単純な加算方式ではなく、ポイントの変動が分かりにくい点もあります。

2年間という長期間のレース結果を参照しているため上位選手ほど順位が安定している傾向にあります。

反対に下位選手であれば、1つの大会の結果でジャンプアップすることも可能です。

以下の表は、大会の種類に応じて優勝者の獲得できるポイントを示しています。2017年に適用され、今後も変更する可能性は十分にあります。

前述したように、2位以下の選手はこれらの数字から92.5%の値へと順位が下がるごとに減少していきます。



ITUポイントの写真



ちなみに獲得できるポイントとして計算されるのはすべての大会ではありません。
最新1年間のうちにポイントを獲得した中で最も大きな6大会の合計。

また2~1年前のうちにポイントを獲得した中で最も大きな6大会の合計×1/3。

これらを合わせたポイントが現在のポイントとして表示されます。

このルールでは下位でしかフィニッシュできない選手が出場大会数を異常に増やしてポイントを加算することを抑制しています。



ITUポイントリストは、最近2年間の大会を参照しているため、これを見れば大会上位でレースを展開する選手かどうか把握することができます。

また、これを元にWTSなどの上位大会に出場できる選手の足切りを行っています。

つまり始めたばかりの選手がどんなに才能に溢れていても、段階を踏んでポイントを稼がなければ上位大会に出場することはできません。

私は、トライアスロンという一朝一夕の練習では歯が立たない競技性に類似しているルールだと考えております。

ITUポイントリストについて、ピックアップしての説明となりました。

この順位がどのように設定されているかを理解することで、細かく選手のレベルを知ることができます。

最近力をつけたのか、上位大会でコンスタントにポイントを獲得しているのか、C杯で常に上位を重ねているのか、これらを知るだけでもレース観戦の面白みはぐっと増すはずです。

目の前の順位だけでなく、ITUポイントリストにも目を通して見ると新しい世界が見えるかもしれませんね。





ムコーダマコト