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No.2
双璧をなす『 高橋侑子 』と『 佐藤優香 』
双璧をなす高橋侑子と佐藤優香
ここ数年、日本選手権といえば雨が降るというような天気が続きますが、2017年10月15日に行われた日本選手権も雨具の手放せない天気となりました。
ここでひとつ、観戦の方法は明確に定められているわけではないのですが、私は傘を使いませんでした。
カッパの方が機動力があることに加えて、やはりスイムスタートやゴール付近など混雑する場所で傘は他の観戦者の妨げになってしまうと考えているからです。
特に、色のついた傘は視界を遮ってしまうので、多くの人が集まる注目度の高い日本選手権では、配慮があってもいいなかな、なんて思ったりもしています。
さて前置きはこの程度にしておきましょう。日本選手権の結果は今更言うほどでもありませんが、
女子は、高橋侑子選手、佐藤優香選手、久保埜南選手、瀬賀楓佳選手の4名からなるバイク先頭集団を中心にレースが展開されました。
最後は、高橋選手、佐藤選手が競り合う形となり佐藤選手が先着。次いで、高橋選手、瀬賀選手と続きました。
また、上田藍選手は2017年7月に鎖骨を骨折した影響が懸念される中でのレース。序盤からスイムで出遅れ、得意のランも十分に力を発揮できず7位でフィニッシュする形となりました。
しかし、年間ランキングに関しては、それまでの貯金が大きく、レース以前から年間チャンピオンが確定していました。
今大会で優勝を最後まで争った、高橋選手と佐藤選手。共に1991年度生まれの同世代のライバルとして競い合う姿が今シーズンもよく見られました。
ここで、両者の昨シーズン出場レースについてまとめてみます。
※昨シーズンとは、ここでは便宜的に2017年に個人で出場した大会を指します。また、予選決勝のある大会は、決勝のみ計上します。
~2017年レース結果まとめ~
※レースカテゴリー表記:オリンピックディスタンス→51.5、スプリントディスタンス→SD、スーパースプリント→SSDと表記
高橋侑子選手
16レース
2017NTTジャパンランキング2位
2017WTSランキング14位
種別内訳(WTS・9、WC・5、アジア選手権・1、日本選手権・1)
距離別内訳(51.5・10、SD・6)
WTS平均順位14.66
9位WTSアブダビ・51.5
8位WCニュープリマス・SD
21位WTSゴールドコースト・SD
17位WTS横浜・51.5
7位WCカルロヴィバリ・SD
15位WTSリーズ・51.5
12位WTSハンブルグ・SD
1位アジア選手権パレンバン・51.5
22位WTSエドモントン・SD
8位WTSモントリオール・51.5
5位WTSストックホルム・51.5
23位WTSロッテルダム・51.5
4位WCウエルバ・51.5
2位日本選手権・51.5
7位WCトンヨン・SD
5位WC宮崎・51.5
佐藤優香選手
14レース
2017NTTジャパンランキング3位
2017WTSランキング19位
種別内訳(WTS・8、WC・5、日本選手権・1)
距離別内訳(51.5・7、SD・6、SSD・1)
WTS平均順位18.5
12位WCニュープリマス・SD
31位WTSゴールドコースト・SD
8位WC成都・SSD
13位WTS横浜・51.5
5位WCカルロヴィバリ・SD
13位WTSリーズ・51.5
28位WTSハンブルグ・SD
8位WTSエドモントン・SD
18位WTSモントリオール・51.5
14位WTSストックホルム・51.5
18位WTSロッテルダム・51.5
1位日本選手権・51.5
12位WCトンヨン・SD
7位WC宮崎・51.5
両名が、トライアスロン世界最高峰の舞台であるWTSを主戦場としていることが伺えます。
ジャパンランキング、WTSランキング共に高橋選手が上位にありますが拮抗していることは言うまでもありません。
~2017シーズンの比較~
両者が同時に出走しているレースは全部で13レース。先着しているレースを数えてみると、高橋選手7レース、佐藤選手6レースでした。
WTSにおける8レースは先着数は4と並び一進一退の結果となりました。
年間ランキングを見ると、高橋選手が上位となっています(高橋選手14位、佐藤選手19位)。
また、それぞれWTSでの平均順位を算出してみても高橋選手14.66、佐藤選手18.5と年間ランキングに対して遜色ない数字が出ています。
日本選手権では同時にランスタートをして佐藤選手が勝ちきりましたが、この数字には何が現れているのでしょうか。
参考になるのはWTSにおけるバイク終了時点です。高橋選手が佐藤選手に先行を許したのはエドモントンでの1レース。
その他は同時、または先行してレースを展開しているのです。
~日本選手権は独特のレース~
例外と言えるのは日本選手権。
日本選手権のレース展開はこの2名を含むバイク先頭集団が形成されたのち、後ろから上田選手が追い上げるのか、それともこの2名のどちらかが優勝するのかという展開が予想されました。上田選手が追い上げてこない場合は、どちらが勝ってもおかしくないという状況で、実際に最後まで分からないレースとなりました。
このように、競う相手がこの2名に絞られるのであれば、どちらが勝ってもおかしくない展開となりました。
しかし、国際大会で活躍するためには、ランキングからも見て取られるように格上の選手がいる中でレースを行う必要があります。
メダルに期待のかかる東京オリンピックにおいてもそれは同じことが言えます。
ユースオリンピックでの優勝経験もあり、2016年リオの代表となった佐藤選手。
2017年に活動拠点を海外に移し競技力の向上を見せた高橋選手。
日本選手権同様に、オリンピックのフィニッシュゲートでも両者のデッドヒートを期待したいと思います。
ムコーダマコト