Interview

杉原有紀は

夢を見る

Entry.15

杉原 有紀

Yuki Sugihara

茨城県龍ケ崎市。
関東鉄道竜ヶ崎線に揺られて竜ヶ崎駅に降りる。地名の「りゅう」は様々な表記が混在するが、やはりその場所には伝説性を感じずにはいられない。そこにいる、「彼ら」は、何度も何度も滝を越えようとして、滝壺に叩き落される。まだ、登りきった先を見たことがない。「彼ら」はその先にある景色を見るために、愚直にその滝を登り続けるのである。

杉原有紀は夢を見る

杉原有紀は夢を見る。眠りながら見るそれではなくて、大志を抱くとか、憧れの舞台とか、燻ることのない栄光とか、そういう意味での夢だ。流通経済大学トライアスロン競技部は、夢を持つための、努力するための場所。唯一の女子選手であるからして、同じ練習やレースの中でライバルがチームの中にいるわけではない。例えば、仲間と書いて「ライバル」と読むような関係ではない。ここは、「かぞく」のような信頼関係がある。
男子がメニューを先に終えて、自分はラストの1000m、1人では練習ができないとか、そういう弱い話ではなくて、一緒に走ってくれるだけで思いが重なる。重なると重くなって、責任感に変わる。

2017年の日本学生トライアスロン選手権。杉原有紀は一年生ながら2位でフィニッシュする。男子は個人入賞者も輩出し、団体優勝。個人競技であるトライアスロンにチームを感じた。人数が揃って女子で団体を組めれば、もちろんそれも嬉しいことだが、そんなことは別にして、誇れる結果だった。
その上で、全員が満足していないことも一致している。仲間だから肌で感じるのだ。夢は、インカレに捧げているわけではない。杉原有紀も同じだった。一年生で準優勝という結果に満足しない。同じレースに出るならば勝ちたかった。優勝したかった。何もそれは、無理やりひねり出した言葉じゃなくて、レース中に自然と流れる汗のように、当たり前に湧き出た感情だ。
夢を持っているから、努力するから、その先にある夢が見えるのだ。
この場所は、夢の中じゃない。
だけど、流通経済大学トライアスロン競技部は夢に近い場所である。そんな仲間の中で、私は挑んでいる。


夢を持つ限り
努力する限り
夢は遠くない