Interview

気持ち

小原北斗の改心

Entry.13

小原 北斗

Hokuto Obara

茨城県龍ケ崎市。
関東鉄道竜ヶ崎線に揺られて竜ヶ崎駅に降りる。地名の「りゅう」は様々な表記が混在するが、やはりその場所には伝説性を感じずにはいられない。そこにいる、「彼ら」は、何度も何度も滝を越えようとして、滝壺に叩き落される。まだ、登りきった先を見たことがない。「彼ら」はその先にある景色を見るために、愚直にその滝を登り続けるのである。

気持ち 小原北斗の改心

小原北斗の話をしよう。その滝を目の前にする時には、チームの形も出来上がっていた。入部することで、揃ったのかもしれない。創部四年目にして、初めて1〜4年生が揃ったのだ。
入部する前から、練習は厳しいと聞かされていた。それでも入部したい、滝壺に飛び込みたいと思える者を求めているという。
もちろん、覚悟を持って臨むのだが、それがどれほどの厳しさなのかは、経験して分かったこともある。そして、そんな厳しさに立ち向かう時、自分の行動を決めるのは気持ちだった。

滝壺に落とされるのは、あっという間のことだった。油断というか失念というか、重大なミスを犯したつもりはなくて、ミスが連鎖して落ちるところまで落とされてしまう。ずっと高いところにいる先輩たちは、するすると登っているのように見えた。自分だけに全ての水流が攻め立てて、落とされてさらに叩きつけられる。背を向けてしまえば、あとは流れに身を任せて、川の流れに沿うように、海に行き着いてしまう。そこで味わう涙はしょっぱい。考えもなく、楽な方へ行くことに魅力はなかった。
背を向けてしまいそうになっても、ずっと滝は流れていた。ドドドド、と音がする。ずっと変わらずに本気で打ち続けている。待っている。
その音が、胸の鼓動と共鳴する。気持ちが熱くなる。前を向く。厳しい滝の中に飛び込めるような気がした。熱くなって、水を蒸発させるようになれば、岩肌が見えた。本質が少しだけ垣¥間見えた気がしたのだ。すると、今までよりも高いところに届いた。するすると登っている先輩たちは、こんな熱さを持っているのだろうか。そう思うと負けられない。
勝ちたい。もっと気持ちが熱くなる。軽く登っているように見えるのは、それが当たり前にやっていることだからなのかもしれない。
忘れずに、怯えずに、この滝を登り続ける。

気持ち。それ一つで世界が変わるはずだ。